発送電分離は愚の骨頂!・現在のオール電化及び電力買い取り制度は格差拡大政策・原発は必要!・次世代原発の開発と震災・津波対策・原発防衛に力を注ぎ、電力供給危機を乗り越えろ!

発送電分離」 高橋洋氏、中野剛志氏

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120224/trd12022407110001-n1.htm

電力会社の地域独占を解消し、発電事業への新規参入を促して自然エネルギーの導入に結びつけようと、発送電分離に向けた検討が政府内で進められている。民主党政権では東日本大震災後、発送電分離に向けた発言が相次いだが、経済界からは異論も出ている。発送電分離は進めるべきなのか、電力の安定供給は保てるのか。富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員と、京大大学院の中野剛志准教授に見解を聞いた。(溝上健良)


高橋洋氏≫

ネットワーク広がり安定

−−発送電分離の目的は?

「発電会社が競争することで論理的には電力料金が下がることのほかに、電気を使う人にとっては発電会社の選択肢が増える。そして送電ネットワークを広げることで電力の安定供給につながるメリットが大きく、欧州では送電網がどんどん広く接続されている。ネットワークは広いほうが互いに融通しあえるので安定的になる」


再生エネ導入進む


−−発電会社間の競争は再生可能エネルギー導入を阻むのでは?

「現状で再生エネルギーはまだ高く、政策的に固定価格買取制度で買い取ることになるが、自由競争と矛盾するものではない。再生エネルギーの導入が進まなかった背景には送電網が自由に使えなかったことがある。発送電分離による送電網の公正な開放が重要だ」

−−送電会社の規模はどの程度のものが望ましいか

「なるべく大きいほうがいい。理想的には全国1社か、周波数で分けて東西2社が妥当だろう」

−−不安定な再生エネルギーを大量に導入するためにも、送電網の統合が必要ということか

「スペインの例が参考になる。同国の送電網は東日本(東京電力東北電力)と同程度だが、再生エネルギーの導入割合が20%を超えている。日本でも送電網の統合で20%の導入は可能なはずだ」

−−欧州の例でも、発送電分離後に電気料金は上がっている

化石燃料の価格上昇や消費税率の増加、環境税や固定価格買取制度のためで、発送電分離で料金が上がったわけではない。ただ日本では今後、電気料金が上がる要因が多く、発送電分離しても料金はそれほど下がらないだろう」


電力の構造改革


−−発送電分離のメリットはむしろ別のところにあると

「電気料金が上がったとしても再生エネルギー導入量が増えて原発が減り、消費者が発電会社を選べるというメリットが多いことを政治家がきちんと説明すべきだ。目的は電力システムの構造改革。一部の電力会社にすべてお任せで責任も押しつけることがいかに脆弱(ぜいじゃく)かということが、大震災で明らかになったのだから」

−−結果的に、ドイツのように発電会社が大規模に統合されることも考えられるが


「全国10地域の電力会社の発電部門が将来的に統合されていくのは、独占禁止法に抵触しなければ構わないと思う。発電会社も海外進出すべきだし、外資による日本の発電事業への参入も歓迎だ」

−−エネルギー安全保障上も、発送電分離を進めるべきか

「それによって純国産の再生エネルギーの導入を増やすべきだ。太陽光や風力は枯渇の心配もなくこんな理想の電源は他にない」



≪中野剛志氏≫

停電のリスクが高くなる

−−民主党の政治家が大震災後に発送電分離に言及し始めた

「大震災で電力の安定供給がいかに難しいかが明らかになったのであって、安定供給できる態勢強化こそが目指すべき方向だ。いま発送電分離が行われようとしている理由がまったく理解できない」

−−発送電分離は欧米で実施例があるが、評価は?

「北欧の場合はノルウェー水力発電スウェーデン原子力発電のように安価・安定的な電力供給が行われていて比較的うまくいったが、火力発電の割合が高い米カリフォルニア州などは電気料金が高騰した。誰も言わないことだが、日本でどうしても発送電分離をしたいのなら、原発の比率を飛躍的に高める必要がある」

−−米国では電力自由化を中止・撤回した州も出てきている。また米国では、築30年以上の原発が104基も使われ続けている

「発電事業者間での競争を促すことは、コストカット競争で安全投資を怠ることにつながる。だから米国では発電所も送電網も老朽化している。日本では大震災で、安全投資が不十分だったことが分かった。むしろ競争を抑え、安全投資を促さねばならない」


欧米すべて失敗


−−発送電分離の主張は、ここ30年来の新自由主義の流れを引き継いでいるとみるべきか

「そういうことだ。改革というと規制緩和や自由化や民営化しか知らない。新自由主義的な考えが間違いだということはとっくに明らかになり、欧米の電力自由化はすべて失敗に終わっているのに」

−−電力の供給が厳しい状況だが、発送電分離は急ぐべきことか

「電気が余っているのなら分かるが、なぜ足りないのに自由化か理解不能だ。まず原発事故の収束と電力の安定供給、原発の再稼働をやってからの話だろう」

−−発送電を分離した後に東南海などで大地震が起きたとすると

「発電会社は送電会社の足元をみて値段をつり上げるので、電力料金は急騰する。電気が足りないほど高く売れるため、発電会社は発電所を造ろうとは考えない。発送電分離でおそらく電力料金は上がり、停電のリスクも高まる。日本の産業にとってもマイナスだ」

−−震災後の計画停電について

「発送電が一致しているからこそ計画停電ができたのであって、仮に分離していたら無計画停電になっていたはずだ」


格差は拡大する


−−太陽光や風力発電は固定価格買取制度で増やすしかない

「この制度は愚の骨頂。原資は電力料金だが、電気は貧しい人も使っている一方、太陽光パネルはお金持ちしか買えない。結果的に貧しい人が払った電力料金がお金持ちの収入に回ることになる」


さて今日は電力の問題を取り上げてみたいと思います。

まず結論は題名通りで、私は発送電分離は明確に反対、そして今の電力行政も反対の立場で、原発に関しては当面の間と言うより次世代原発の開発も視野に推進して行くべきとの立場をとっています。

そこで今回は上記の産経新聞の金曜討論を取り上げてみたのだが、両氏の討論を聞いた上で明確に中野剛志氏を支持したいと思う。

別に高橋氏に突っ込みを入れる気はないが、電力と言うものが今の人間にとってどれだけ重要なものか分かっていないような気がする。
今や電力とは人間の営みにとっては絶対欠かせないものであって、これを企業間の競争を生じさせるなど自滅的行為に値する。

私は人間が生活をするにあたって電力とは『水』と同じだと思っている。
人間は水が無くては生きて行けない。
それ故に、水道事業は各自治体が責任を持った上で公平に各家庭に送り込まれている。
電力とは人の生活・企業の生産・食物の生産などありとあらゆる場面に対して欠かせないものであり、電力業者同士での競争など求めるべきではなく、求めるべきは安定供給に他ならない。

競争を主眼に置いた発送電分離は、競争によって価格競争が起こり、それはやがてコストカットによる安定供給の破綻を招く恐れがある。
それは既にバブル崩壊後に起きた欠陥住宅の数々を見ても分かるはずだ。
競争と言うのはお互いに切磋琢磨してより良い物を構築するものならば良いだろう。
しかし電力の場合、どう考えても価格競争に陥る公算は極めて大きいのだ。
そして価格競争で得られるメリットはあくまでも企業運営の効率化のみだ。
決して安定的な電力の供給が競争で得られる事はないと思う。

その点で言うと、現在の各地区独占体制の経営は一応は評価できる。
無用な競争を避け、電力の安定供給に集中できるシステムである事は間違いない。
ただ、私は先ほども言ったように既に電力と言うものは人間にとって『水』と同じ水準に達していると思う。
だから如何に独占とは言え、利益を追求して行く民間での電力供給は、今後見直さなければならないんではないかと考えている。
何らかの形で国が管理し自治体が運営して行く方針が望ましいのではないかと思うのだが・・・。

次に現在の電力の制度についてだが、中野氏が仰る通り太陽光の買い取り制度などは、経済的弱者に対する負担増を増す最悪の制度であると思っている。
特にオール電化の価格設定と太陽光発電による買い取り制度だが、これはそれらのシステムを購入出来る人ならば良いが、経済的にも無理な方は多く存在するはずだ。
何度も言うように、電力とは水と同じように人間にとって欠かせないものだ。
その欠かせない重要な資源を、経済的弱者に重い負担を課せる政策はすぐにでも改めるべきである。
太陽光を促進したいのなら、お金で釣るような政策を採らず、自ら発電するメリットのみで推進すれば良いだけだ。
電力とは皆が共有する大切な資源であり、人として公平に供給されなければならないものだ。
太陽光でもオール電化でも、したい人はすれば良いだけで、このような政策で格差が拡大する事は決してあってはならない事だ。

そして最後に原発問題。
これは私は原発は当面の間再稼働して電力の安定供給を目指さなくてはならないと思う。
ここで原発が無くても電力は足りていると言う主張があるが、これは全く持って危機管理上ナンセンスな考え方だ。
電力とは足りていれば良いと言う問題ではない。
ではもし仮に現在稼働している火力発電なり何なりの設備が故障でもすればどうなるのか。
考えなくても分かりそうなものだが・・・。
電力に限らず全ての事象に危機管理上バックアップ施設は必要不可欠なのだ。
だから原発だけでも火力だけでも駄目であって、発電出来るシステムすべてが必要となる。
それは東日本大震災で嫌と言うほど思い知らされたはずなのだが、直後に出て来た原発廃止論は全くその教訓がどこかに飛んでしまっていた。
原発に関しては今必要な事は、耐震・津波対策による強化だ。
そして何より進行波炉型・トリウム溶融塩炉型の次世代原発の開発に着手すべきである。
これらの原発は理論上、核廃棄物を現在の原発よりも抑制する事が出来る事、そして安全性も格段に向上する特徴がある。
こうした原発の技術開発を早急に進め、自然エネルギーなども同じように技術開発すれば良い。
一方の技術を止め、一方の技術を推進するのは、国にとってあらゆる可能性を自ら放棄する事につながる。
だからこそ反原発に見られるような極端な運動には、私は断固として反対する。
そして何より国防上、軍による防衛システムは必要不可欠だ。
その意味でも自衛隊による警備と、事故対策専門の部隊の編制、そして自衛隊の増員や国軍への昇格をしなくてはならない。

電力とは競争によって得られるメリットはほとんどない。
そして利用する国民にとって格差があってはならない。
電力に求められるものは安定供給のみで、バックアップ機能は決して損失をしてはならないと言う事だ。
そして原発については、最悪の事態を想定した管理と防衛が求められる。
こうした事を国民レベルでも冷静に考えるべきである。